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図書館からお届け!今月のおすすめ本(2020年9月)

逆ソクラテス

伊坂 幸太郎(著)/集英社

逆ソクラテスとは、「無知の知」の逆をいく大人のこと。知ったかぶりして常識に捕らわれた大人たちを小気味よく裏切る主人公の小学生たち。世の中は劇的に変わることはないし、自分にできることはちっぽけで、無意味かもしれない。でも、誰かの言葉で、誰かの行動で世の中の先入観が覆る、そんな快感を体感できる小説です。
ちょっぴり勇気が出る連続短編集。伊坂ワールドを堪能してください。

えんぴつとケシゴム

ヘルマン・ブランコ(絵)/カレン・キルパトリック/ルイス・O・ラモス・ジュニア(文)/高畑 正幸(訳)/角川書店

えんぴつは描くもの、ケシゴムは消すもの、だから描く方が、創造力が優れている!と、思っていませんか?えんぴつが描いた絵をケシゴムが消していくと新しい絵が生まれていきます。この絵本を読むと、消すことも創造することなのだと気付かされます。描いては、消して、また描いて、えんぴつとケシゴムは、最強のコンビであり、ケシゴム付きえんぴつが1本あれば、だれでも芸術家になれます。ちなみに、訳者の高畑正幸さんは、丸亀市出身です

家族写真~3.11原発事故と忘れられた津波~

笠井 千晶(著)/小学館

福島県南相馬市萱浜地区は、東日本大震災の津波で77人の人が犠牲になりましたが、原発事故後、警戒区域となり避難を余儀なくされました。そんな状況の中、萱浜地区でたった一人になっても捜索を続けた上野さんは津波により両親と2人の子供を喪いました。上野さんが、喪失の痛みに耐え、現実と向き合っていく心の変遷が丁寧に描かれていきます。4人の遺影と共に3人が静かに笑っている上野さん一家7人の家族写真が語りかけるものを、私たちは決して忘れてはいけないのです。